ejo090の日記

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小説、第一章第一編①

「おーい!おきろー!!」
うーん…もう少し寝かせてよ…んごぉー…
「起きないとまた絞られるぞ?!」
んぁっ!!!
そうだ!やべぇー!!遅刻すると絞られるじゃん!!
とはいえ俺の体は布団に屋久杉の如く根をはってるし、まぶたは針金で縫い付けたと思えるほどピクリとも動かん…
ちくしょー…昨日の訓練のせいだ…

話は遡ること…って自己紹介がまだだったな。
僕は17才の高校2年生。名は斎藤英伍。
人生で一度きりの高校生活をエンジョイするはずだったのだが、
人生というものは一筋縄ではいかない。
原因は話せば長くなるので割愛す…え?長くなってもいいから話せって?仕方ないなぁ…
ここから回想シーンですよー。


テレビ東京が特別報道番組だと…?!
『ー速報です。先ほど、8月16日7時19分、国籍不明の戦闘機と思われる飛翔体が日本領空に現れ、北海道稚内市上空にて爆撃を行い、稚内市はほぼ壊滅状態となり…』
「……物騒ねぇ…」
いやいや母さん、物騒っていうかこれ戦争なるだろ?
「でもねぇ…」
国土の一部爆撃されて黙ってる国がどこにあんだよ?!
「でも憲法の九条あるじゃない…。」
そうだった。それを忘れていた。読者もよく考えてみろ、国土の一部占領気分になってるお隣の国より悪質だぞ?
これ。
悪質ってレベルじゃねぇよ。恐らく何十万人という日本人が死んでるんだからな…

このとき、俺にバットで殴られたような嫌な予感がした。
『ーこれに対し国連安保理は緊急会議を開き、原因究明に心掛けています。』
そのニュースから5分ほど間があっただろうか、電話のベルが鳴った。
「はい、斎藤です。」
「◯◯高校ですが、今朝の事件はご存じですか?」
そりゃぁな。あんな事件知らんとかどんだけよ。
「今テレビで速報みました。」
「それでは説明は不要です。本日から特別警戒態勢が解除されるまで学校へは登校禁止です。」
え…?んじゃ欠席扱いでしょ?単位とれなくね?皆勤賞狙えなくなるだろ?
「大丈夫です。これは国の方からのお達しなので欠席扱いにはなりません。」
ってことは家にずっといろってことか。
「はい。国から正式な発表があると思いますので…」
そうか…ありがとうございます。
「プツッ…ツー…ツー…」
…。
なんだろう、凄く大事になる気がする…

ピンポーン!
ん?こんな時に誰だ…?
「英伍ー!きてやったぜー!!」
この声とこのテンション!ごるるこ(愛称)に間違いない…!


ここで解説しよう。
ごるることはあだ名で本名は斎藤一樹、僕の幼馴染だ。
祖父が兄弟で又従兄弟となる。
なんでこんなあだ名になったか覚えちゃいないが、そいつの父親が元自衛官ということでかなりの軍事オタクだ。
東京マルイFA-MASを叩き割ってやったときは泣きながらMP5をBB弾ばら撒き器にしやがった。
各国の対テロ用部隊も採用してる銃なのになんということを。FBIも使ってたりすんだぞ。
ここまでの流れで分かるだろうが、ごるるこの影響で俺まで軍オタになってしまった。やっちまったぜ。
だからといって軍オタが嫌な訳ではなく…。
時々ごるることサバイバルゲームをしたりもするしなー。
いつも負けちゃうけどね。
「おい!人の話聞いてんのか?!」
え?!あ、あー、居たねー。少し説明しててねー。
「俺しかここに居ないのに誰にはなしてんだ?変な奴…。」
読者…といっても理解してくれないか。
「そんなことどうでもいい!朝の事件知ってるか?!」
おうよ。テレ東が特別報道番組だからな。まだやってるぞテレ東。こりゃ世界終わるなー!
「んなこというなし!本当に世界終わるかも知れないんだぞ?!」
な?!稚内に爆撃だろ?どうせ東アジアの『ニダ』とか『アル』とか『マンセー』とか言う人達でしょ?
マンセーの国なんて人工衛星テポドンを日本上空とばしたんだぞ?
「それが違うんだよ!ちゃんとニュース見たか?!」
いんや?ちょっとだけしか見とらんが…
「国連の発表によると太平洋上に大陸が出来ているとか、しかもその大陸には人型生命体がいるとか…」
…ちょっとまて。俺の耳が悪いのか?
大陸ってなんだ?大陸って。
オーストラリアより大きかったら大陸だぞ?まさかオーストラリアより大きいのか…?!
「そうらしい、しかもハワイの位置のようだ…」
俺の一生の夢ワイハーがあああああ!!!!ダイヤモンドヘッドでベンチャーズのダイヤモンドヘッドを聞くのが夢だったのにいいいいいい!!!
…?ってことはハワイ民は…
「ああ…っていうかお前夢小さいな…」
夢なんてどうでもいい!これはやばいぞ?!VIPいかねばっ!
「こんな時までVIPかよお前…日本の将来考えろよ…」
いいんだ!ってなんでさっきから最新情報を?
「これだよこれ」
ごるるこはおもむろにポケットの中をまさぐりだした。
こんな時に賢者モードになる気か。
「変なこと考えてんだろ!俺が…」
わかったよわかったよ!その秘密はなんだ?
「ジャジャーン!AMラジオ!」
期待した僕が馬鹿だった。さ、家へ入ってVIPでも…
その時、ごるるこがそれまで耳につけていたイヤホンを外し、颯爽と俺に歩み寄ってきた。僕にはそんな趣味はないぞ?!
「ちょっと待て…黙ってこれを聞け」
そういって俺の耳にイヤホンをねじ込んだ。
…?ただのニュースのようだが…
「内容聞け!内容!」
よーし…聞くぞ…
俺は耳を研ぎ澄まし、ごるるこの言う通り、キャスターの声に聞き入った。
『もう一度お知らせします。7時8分、国連は、突如太平洋上に浮かび上がった謎の大陸に武力制裁をすることを決定しました。』
武力…制裁……?
「つまり変な大陸を攻撃するってことだよ!」
…まて!速報だ!
「なに?!片っぽ聞かせろ!」
ぬわっ!ちょっ!聞こえねーだろっ!
『…です、速報です。ただいま、
国連の武力制裁のニュースをお伝えしましたが、12分前、謎の大陸上空を飛行していたアメリカ空軍のF-22戦闘機が2機撃墜されました。死者は4名と予想されてます。』
…なんだと?!撃墜ってどういうことだ?!
撃たれたのか?撃たれたのか?!
「…その……ようだな………」
『ーこれらの機体からの交信は撃墜直前で途絶えており、「逃げても逃げてもミサイルに追尾されている模様、ミサイルからは逃げられないようだ、この大陸の軍隊には敵わない、世界の終わりだ」との交信がされた直後のことでありました。そのとき、謎の大陸上空にはレーダーに映っていたミサイルだけでも85機が飛翔していた模様です。』
…遺書書くか…?いや…!まだ死にたくないぞ!
僕は100円ショップで売られてそうな音割れイヤホンから聞こえてくる…、いや、聞かされている現実からただ目を背けたい気持ちでいっぱいだった。あの何とも言えない音の無気力さがそれを増幅させやがる。
とにかく、これは夢だと頭の中で連呼するしかなかった。
「軍事力が半端ない…」
ごるるこはこう言ったがこんな時は軍事力云々ではない。そもそも謎の人型生命体から突き詰めていかねばならんだろう。
もしバレットM82で頭含める上半身に50口径弾を10発ぶち込んでも死なないバケモノだったら全世界の人間は白旗を上げるべきだ。
絶対そうすべきだろ。だってんな奴らだと捕まったら何されるか分かったもんじゃない!
僕は捕虜より死を選ぶタイプだから、白旗を上げる前に死んでいるだろう。
「ーだから、敵の軍事力は強大だと予想されるのだ。」
あれ?ごるるこが何か喋ってたけど全く聞いてなかった。とりあえずうなずいとくか。
「………!」
ごるるこがいきなり口を開けて、漫画でよくある世界の終わりだと言わんばかりの顔をした。イヤホンの中から強烈な用語が飛び出したようだ。その用語を聞くと気絶するかもしれん。
しかし、恐いもの見たさということわざもある。芥川龍之介羅生門の語を借りれば六分の恐怖と四分の好奇心といったところであろうか。
恐いもの見たさではないな。恐いもの聞きたさに訂正しよう。…と、思っていると俺の指はごるるこのTシャツの中程にある、Rと書かれたイヤホンを手に取り耳にはめる動作をしていた。
…好奇心とは恐ろしいものだな。
『… う一度お伝えします、先ほど日本はアメリカの指示に従い、銃刀法の撤廃、そして国民皆兵制をとることを発表致しました。他の政治家からは憲法第九条に反すると批判の声が多く、いやほぼ批判の声でしょう。天皇は国民皆兵制に賛成の意を示しており、内閣総理大臣防衛大臣も国民皆兵制には賛成の模様。防衛大臣は批判する政治家に向かって、「自国を攻撃、しかも一都市が地図から消せる荒れ方をしているにも関わらず他国に全てを委ねるのは凡愚同然、自国でも戦闘出来る体制にしておかなければ自国民をまもることはできまい」と一喝、この発言に対しては人権無視だと批判されたとみられます。それでは、速報が来るまでもう一度お知らせいたしますー』
俺はイヤホンを最近舗装し直されたアスファルトに叩きつけた。
ごるるこがなにかを言っていたが気にすることはあるまい。
それより今の速報はなんだ?銃刀法の撤廃?国民皆兵制?あまりにも現実味のない用語ばかりで寝たくなる。
銃刀法の撤廃ってことは誰でも銃や刀が持てるようになり、その上徴兵もされるんだろ……
…とめん…断じて認めん!
「ということは、自衛隊は自衛隊でなくなるってことか…陸上自衛隊が日本国陸軍になるってことだろ…」
…だろうな…
だとしてもどうするんだ?!
僕らまで連れてかれんのか?!
「なぁ…、今日は一旦寝ようぜ…」
…あぁ、名案だ…。
そうはいったが俺は未だ頭の中でうずくまってるあのニュースの内容が気になって眠れそうにないだろう、まじで…
といいつつも体は勝手に家へ向かっていた。昨日は陸上の試合があったから体がだるいせいだろう。
玄関をあけるなり母が飛び出してきた。どうせさっきの速報の話題だろう、それなら聞いたからいいよと拒んだがそれは許してくれないらしい。
僕の体は階段の中程に居るはずの時間だが、腕を掴まれ足がついてきていない状態でリビングへの廊下の中程にいた。
また長ったらしい話の始まりだ。
待てよ?…寝る!といって話を止めよう。
「さっきの…ニュースみた…?」
ああ、一樹に聞かせてもらってたが正しいけどな。
心なしか母の顔が歪んだ気がした。
俺が疲れてるからだろうか?
「それでね…、」
その続きを聞きたくないという俺の気持ちが母に伝わったのか、母は口籠った。さすが17年間僕の母親を務めてきただけある。
それか、僕が明らかに露骨な顔をしたのだろう、自分の顔は自分じゃ見えないからな。
そう頭の中で考えながら俺は二足歩行の亀のようにぬらりくらり自分の寝室がある二階の階段を一段一段踏みしめながら歩いていた。
…しかしこの階段は急だ。俺の部屋のロフトほどではないが、急だ。
このままひっくり返れば床に突き刺さるのは必至だろう。今まで何度下の床にムーンサルトボディープレスをしたことか…
あと2段…たった13段の階段なのにここまで体力を削られるとは思わなかった。
階段を登ると短い廊下。向かって左側が俺の部屋だ。向かいは物置と化している。
…ふぅ。やっとのぼり切った。
たった2mの廊下、この気分だと200m…は言い過ぎか。とにかく体がだるい…
部屋のドアノブまで手をのばす。
ドアをあけるといつもの光景…
部屋の真ん中にはよれよれの布団…
その布団にゆっくり歩み寄り、俺は爆撃機から落ちてくるやる気の無い爆弾の如く倒れこんだ。
たったひとつの強大な事実が人をここまで疲弊させるものなのか。
そのときまたベルが鳴った。
今度は誰だよおい…

「大丈夫かー?英伍ー?」
…この声は…うめきちか…?

ここでまた紹介タイム。
うめきちとは、僕の向かいの家の幼馴染。
しかし年齢が違い、22歳。
現在、大学の教育実習でわが高校に来ているという訳なんだが、
いつもドジばかりしている。
これでは教師になんてなれんぞ。


「部屋いくぞー?」
あぁ。…って今の蚊のような声じゃ聞こえないか。
ドアが開く。ノックなしかい。
「ぐったりしてんなー。」
見りゃ分かるだろ…
「今日学校休みだぞ?」
分かってるよ…。
じゃなきゃ今ここにいないっての。
「俺も迷惑かかるから家に居ろって連絡きたのさ。んで、暇になったから来たって訳ー☆」
☆つけんなよ…まぁいいや。
ここは暇つぶしの場じゃないぞ?
「そんなん百も承知!」
お前…ホントに22か…?
「おうよ!」
うーん…
俺より精神年齢低そうだな…
「んなこというな!意外と頭いいんだぞ!!」
”意外”は自分でつけていいのかよ?!
「あ…うん、いいんだ。」
ん?
携帯、着信してるぞー?
「おっ、父親からだ」
出なくていいのか?
「出るよー」
そういって最新型の携帯を耳へ近づけた。
ん…声でかいよ…
「なっ?!親父が倒れた?!」
はいはいわろすわろs……はぁぁぁ?!


第一章第一編①終わり〜



ここはこうしろ、直せ、などの文句受け付けます。


じゃぁ!